全国最古の夫婦えびす石像が祭られる六所宮

■六所宮のえびす神像

六所宮境内に、えびす神像が夫婦で祭られています。
七福神のひとりで、釣りざおを持ち、脇にタイを抱く商いの神様といえば、一般的にしられているえびす神のことですが、羽犬塚地区の六所宮には、えびす神が夫婦で祭られていることを知っていますか?

夫婦えびす神像は、六所宮境内の西側に祭られている4つのえびす神像のひとつで、幅35センチ、高さ30センチ程度の凝灰岩の表面に男女並んで彫られています。この神像には「正平12年(1357年)11月吉日」の文字が刻まれていて、このように男女像がともにえびす神として祭られているのは、国内最古級ではないかと考えられています。

えびす神のルーツは古く、日本書記や古事記には「水蛭子」や「蛭児」という表記がされていますが、信仰するようになったのは中世のころだといわれています。豊漁をもたらす漁業神や航海の守護神として信仰が始まったえびす神は、しだいに商業の神として祭られるようになりました。現在のようにタイを抱く姿になったのは、室町時代に起源をもつ七福神信仰が深く関係しています。
夫婦えびす神像は、もともと羽犬塚中町会所の敷地内にあり、明治時代になって六所宮に移されました。古くから市が栄え、交通の要所でもあった羽犬塚には、当然のこととして町のあちらこちらにえびす神が、祭られていたと考えれます。この夫婦えびす神もきっと、時を越え、町の繁栄や商取引の活性化を願うたくさんの商人たちの信仰を集めたことでしょう。